白内障の日帰り手術
当院では白内障の日帰り手術を行っています。濁ってしまった水晶体を取り出して眼内レンズ(人工水晶体)を挿入する手術で、眼内レンズはメンテナンスやケアが必要なく、生涯お使いいただけます。白内障手術は国内で年間100万件以上も行われてきている手術です。当院では安全で質の高い日帰り手術を心がけています。
手術方法
点眼麻酔を行ったら瞳と白目の間を2~3mm切開し、水晶体を包んでいる袋のような嚢を切開します。嚢の中に器具を挿入して超音波で水晶体を砕き、それを吸引して眼内レンズを入れます。
手術はテノン嚢下麻酔を中心とした局所麻酔を用いて行うため痛みはほとんどなく、手術操作時間は15分程度で終了します。
眼内レンズについて
水晶体の代わりに挿入する眼内レンズ(人工水晶体)には、さまざまな種類があります。当院では患者様がライフスタイルや術後の見え方、ご予算などに合わせて最適なものを選択いただけるよう、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズをご用意しています。
眼内レンズは試しに入れてみるということはできません。そのため当院では事前にそれぞれのメリットやデメリットなどをくわしくお伝えし、患者様のご希望をしっかりうかがっていきますのでご相談ください。
単焦点眼内レンズ(保険適用)
最も多く使われている眼内レンズです。遠く・近くのどちらか1方に焦点を合わせることができるもので、他の距離を見る際には眼鏡が必要になります。お仕事や趣味などに合わせて距離をお選びいただきます。単焦点眼内レンズは保険適用になっています。
多焦点眼内レンズ(保険適応外)
いわゆる遠近両用のレンズです。近くと遠くの両方にピントが合いますので、老眼がある場合でも多焦点レンズを入れることで眼鏡を使わない・眼鏡の使用頻度が減る生活が可能です。白内障の手術を受けることで、見え方の質の向上も期待できるのです。
多焦点眼内レンズが適している方
- 日常生活でできるだけ眼鏡をかけたくない
- 75歳までの年齢で、白内障以外の眼疾患がない
- 遠視や強い近視でいつも眼鏡をかけている
- 屋外で活動する機会が多い
多焦点眼内レンズが適さない方
- 眼鏡がわずらわしくない
- 術後の見え方に過度のこだわりがある
- 緻密な作業が必要な仕事や趣味を持っている
- 車の運転を夜間にすることが多い
- 繊細で物事が気になる
- 軽い近視で眼鏡がなくても中距離や近距離は問題なく見える
- 80歳以上
- 白内障以外の眼疾患がある
ハロー・グレア
白内障手術で多焦点眼内レンズを挿入した場合、光がにじむハローや光がギラついてまぶしいグレアという症状が現れる可能性があります。ほとんどの患者様が、時間経過によって自然に気にならなくなると言われますが、見え方に強いこだわりがある方や繊細な方には向かないことがあります。
見え方の違い
正常な見え方、白内障の見え方、単焦点眼内レンズの見え方、多焦点眼内レンズの見え方を比較できます。見比べてみてください。
当院での取り扱い多焦点眼内レンズ(保険適用外)
iSii(HOYA社)
遠くと中間距離の2焦点に合わせることができる眼内レンズです。手元のピントは約40cmで合わせることができます。近くのものがやや見えにくく感じることがあり、その場合は眼鏡が必要になります。コンストラスト感度は比較的良好ですが、ハローグレアが若干あります。
ReSTOR(Alcon社)
乱視も矯正できる多焦点眼内レンズです。手元のピンとは約30~50cmに合わせることができます。夜間や暗いところでは、手元が少し見えにくくなります。ハローグレアは少なめです。
白内障手術の流れ
1.診察と眼科一般検査
視力を含めた眼科の一般検査を行います。白内障の状態を確認し、生活への支障などについてもお話をうかがった上で、手術が必要かどうかを判断します。
2.術前検査
手術の内容についてくわしくご説明し、ご納得して手術を受けることに決まったら、事前検査を行います。
感染症の有無などを調べる採血検査、黒目の細胞数を確認する角膜内皮細胞検査、目の中に入れる眼内レンズの度数を決める眼軸長測定などがあります。手術内容や注意点、眼内レンズについてのくわしいご説明も行っています。
3.手術日程調整
術前検査で問題がなければ、手術日程や挿入する眼内レンズを決めていただきます。手術は火曜日午後に行われています。
4.手術
ご予約いただいた手術日にご来院いただき、手術を行います。
5.術後管理
手術後は眼帯をつけ、翌日のご来院までそのままにしていただきます。翌日の診察で問題がなければ眼帯を外します。なお、目の状態によって翌日以降も眼帯が必要な場合もあります。原則保護グラスを指定期間使用していただきます。
入浴やメイク、お仕事、スポーツなどに関しては医師より指示があります。
後発白内障について
白内障手術を受ければ白内障の再発はありません。ただし、手術後に視界が再び白っぽくかすむ白内障のような症状が現れることがあります。数ヶ月から数年に現れる症状で、後発白内障と呼ばれていますが、これは挿入した人工の眼内レンズが曇るのではなく、水晶体をおおっていた袋状の水晶体嚢が細胞の変性を起こして濁ったものです。白内障手術では水晶体嚢の前にある前嚢は除去しますが、眼内レンズを固定するために後嚢は残します。この残された後嚢が濁って症状が現れています。
後発白内障は、レーザー治療で痛みなどもほとんどなく数分で治療することが可能です。この治療でレーザー光線を照射して後嚢に穴を開けることで、光がスムーズに通るようになります。ほとんどの場合、視力は知慮後すぐに回復します。
手術費用
単焦点眼内レンズ
70歳未満の場合 | 3割負担 |
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片眼 | 約50,000円 |
両眼 | 約90,000円 |
単焦点眼内レンズ
70歳以上の場合 | |
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3割負担 | 44,400円 |
1割・2割負担 | 12,000円 |
非課税世帯 | 8,000円 |
多焦点眼内レンズ (保険適用外)
多焦点眼内レンズは自由診療です。詳しくはお問い合わせください。