硝子体注射について
当院では、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫に対して抗VEGF抗体の硝子体内注射を行っています。黄斑は網膜の中心にあって、注視したものの形や色を識別する重要な役割を持っている場所です。黄斑に障害が起こると視力が大幅に悪化し、明るさはある程度わかっても文字などが読めなくなる可能性がありますので、適切な治療が重要になってきます。
黄斑を含む網膜には毛細血管が縦横に走っています。動脈硬化や高血糖などで毛細血管の血流が阻害されると、酸素や栄養素が不足して新生血管というもろくて質の悪い血管が粗製乱造されてしまいます。新生血管は血液やその成分を漏らしてしまうことが多く、黄斑の浮腫や眼底出血などを引き起こします。
抗VEGF抗体はその新生血管を退縮させる薬剤です。この抗VEGF抗体を硝子体注射することで新生血管を退縮させて黄斑に起こっている症状を改善していきます。治療前に精密な検査が必要ですし、治療後も改善の状態を観察しながら必要があれば複数回の注射を行っていきます。治療内容は、まず散瞳点眼と目の周囲の消毒、点眼麻酔を行い、白目の部分である結膜から眼球内部にある硝子体腔に注射を行うというものです。注射を受ける数日前から抗菌剤入りの目薬を点眼する必要があるため、基本的に事前受診の後でご予約いただく流れになっています。ただし、緊急にこの治療が必要なケースもあり、その場合には当日の対応を行うこともあります。
対応疾患
硝子体注射の流れ
診療
診察と精密検査で加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、黄斑浮腫などがあり、硝子体注射が必要だと判断された場合、現在の状態や治療内容をくわしくお伝えしています。
事前準備
注射を受ける日の3日前から抗菌剤の点眼が必要になります。注射後の感染予防のために、朝・昼・夜・就寝前の1日4回、3日間の点眼を行います。
ご来院の際のご注意
注射の前に目の周囲を消毒しますのでメイクをしないでおいでください。メイクをしてご来院された場合でも、受付後にお化粧を落としていただけば問題ありません。ただしご帰宅の際にメイクをすることはできません。治療後にはご自分での車やバイク、自転車の運転はできません。
当日
- 診察 眼の状態を確認します。
- 散瞳点眼 手術する方の目に行う点眼です。
- 治療 点眼麻酔の後、目の周囲や眼球を消毒し、硝子体注射を行います。注射自体は1分程度です。
- 処置 眼帯をつけたら治療は終了です。
- お会計 受付でお会計をされたら、そのままご帰宅できます。
なお、点眼麻酔は15分程度効果が持続するため、注射による痛みはほとんどありません。
注射後、モヤがかかったようにかすむことがありますが、ほとんどの場合は自然に解消します。
翌日
注射を受けた翌日には必ずご来院いただき、状態を観察します。問題がなければ眼帯を外します。
細菌感染を防ぐため、翌日から3日間、抗菌薬点眼剤を朝・昼・夜・就寝前の1日4回します。
定期検診
改善状態を確認して、十分な効果が現れるまで複数回の硝子体注射が必要になる場合があります。
硝子体注射に関するご注意
細菌の侵入を防いで感染を予防するために、硝子体注射を受けた場合には、入浴やメイクなどにいくつかの制限があります。また眼帯をつけますので、慎重に行動されるようお願いしています。
入浴や洗顔
当日の入浴や洗顔は厳禁です。眼帯を外さずに首から下のシャワー程度でしたら大丈夫ですが、顔に水がかからないよう十分に注意してください。顔は濡れタオルなどで拭く程度でしたら可能ですが、目の周囲を避けて行うようにしてください。
メイク
化粧品やメイク道具には細菌が付着しています。健康な時と違い、注射後は細菌感染リスクが上昇するため、当日のメイクは厳禁です。
運転
自動車やバイク、自転車などの運転は厳禁です。当日や翌日のご来院までは眼帯をつけているため、距離感がわかりにくくとても危険なため控えて下さい。
日常生活
眼帯をつけている間は距離感がわかりにくいため、慎重に行動するようお願いしています。
点眼
細菌感染を防ぐため、翌日から3日間、抗菌剤を朝・昼・夜・就寝前の1日4回、必ず点眼を行ってください。細菌感染により強い炎症が起こる可能性がありますので、点眼など医師の指示を守り、患部に触れないようにしてください。