硝子体手術とは
硝子体は眼球の中を満たしているゼリー状の透明な組織で、網膜に接しています。硝子体手術は網膜やその中心にある黄斑に起きた病気の治療に用いられます。糖尿病網膜症や黄斑前膜、黄斑浮腫、硝子体出血などが適応になります。
硝子体手術を必要とする主な病気
- 黄斑前膜(黄斑上膜)
- 黄斑浮腫
- 硝子体出血
手術の方法
眼内の硝子体を取り除いて、症状に合わせた処置を行う手術です。
最初に目の下の部分に局所麻酔を行います。白目にとても小さな穴を3つ開けます。それぞれに、眼球の形を保つ潅流液、照明、硝子体切除を行うカッターを入れ、濁りや出血とともに硝子体を切除し、増殖膜の除去、レーザー照射など必要に応じたものを行います。
当院の特徴
負担を軽減する日帰り手術
硝子体手術は、これまで1~2週間程度の入院が必要でした。現在では医療技術や機器の進歩により極小の傷口での手術が可能になり、炎症リスクも大幅に減少したことから日帰り手術を安全に行えるようになってきています。なお、お一人暮らしなどで日帰り手術にご不安がある場合には入院設備のある大学病院などをご紹介しています。
手術は全て院長が対応
デリケートな目の手術の中でも、硝子体手術は執刀医の知識や経験が不可欠な難しい手術です。大学病院の眼科医局長を務めた経験があり、長年にわたり重症網膜症硝子体疾患を中心に治療を行ってきています。手術前の診察から手術後のフォローまで一貫して院長が対応いたします。
白内障と硝子体の同時手術が可能
網膜や黄斑の疾患は、白内障を併発しているケースがよくあります。硝子体手術と白内障手術を同時に日帰り手術で受けられるようにしており、患者さまのご負担を軽減しています。
手術後の注意点
硝子体手術に共通する注意事項をご紹介しています。なお、硝子体手術では症状や状態に応じてさまざまな処置を行うため、それぞれ異なる注意点もありますので、必ず医師の指示に従ってください。
目に触れないでください
出血や感染症を起こすリスクを軽減するために、手術後に目周辺に触れる、こする、押さえるなどをしないようにしてください。
医師の指示通りに点眼してください
硝子体手術後には、合併する可能性のある重篤な炎症や感染症を予防するための点眼薬が処方されます。この点眼薬を医師の指示通りにしっかり毎日決まった時間に点眼してください。
目に水分が入らないよう注意
手術後の3日間は特に重篤な感染症リスクが高い時期です。この期間には点眼薬以外の水分が目に入らないよう、十分にご注意ください。
洗顔:目の周囲を避け、硬く絞ったタオルで軽く拭く程度にとどめてください。
シャワー:首から下だけ可能ですが、しぶきが目やその周辺にはねないよう十分注意してください。
汗や雨:額から目の方に流れてこないよう、汗が出そうな場面ではタオルなどを巻いてください。また、強い雨が降っていたらできるだけ外出を避け、やむを得ず外出する際には眼鏡などでガードしましょう。
硝子体手術の合併症
硝子体手術は日帰りで受けることもできますが、手術ですから合併症が起こる可能性はあります。目の異常を感じたらすぐに手術を受けた医療機関に連絡し、受診してください。
硝子体出血などの眼球内の出血
手術中、急激に眼球内の動脈から大量に出血する駆逐性出血が起こる可能性があります。駆逐性出血は視力を大幅に低下させ、失明につながることもあります。
手術後の硝子体出血は、糖尿病網膜症の手術後に起こりやすい傾向があります。ほとんどは2週間程度で治まりますが、出血量が多い場合には再手術を行う場合もあります。
網膜裂孔・網膜剥離
手術中に硝子体を切除する際に、網膜裂孔ができる可能性があります。放置すると網膜剥離を起こすことがあり、その場合には再手術が必要になります。また手術後に異常な増殖膜が形成され、それが網膜を引っ張ることで網膜剥離を起こす増殖性硝子体網膜症になる可能性もあります。この場合も再手術が必要です。
眼圧の上昇(緑内障)
手術後に眼圧上昇がみられることがあります。ほとんどの場合は一時的なものでやがて戻りますが、まれに眼圧が高い状態が続くことがあります。眼圧が下がらないと視神経が障害を受け、視野の欠損などを起こす緑内障の発症につながります。
また、糖尿病網膜症で硝子体手術を受けた場合、手術後に新生血管が生じ、眼球前方の虹彩(こうさい)周辺まで新生血管が伸びて眼圧を上昇させる血管新生緑内障になることがあります。これは通常の緑内障よりも治療困難だとされています。
角膜上皮障害
角膜上皮は角膜の表層にある組織で、糖尿病の方はこの角膜上皮がもろくて傷付きやすいケースが多くなっています。硝子体手術をきっかけに角膜上皮の欠損が徐々に悪化し、角膜上皮障害を発症する場合があります。
白内障
硝子体手術では、水晶体が濁る白内障発症リスクが上昇することがわかっています。そのため白内障の症状がない場合でも、硝子体手術の際に水晶体を人工の眼内レンズに代える白内障手術を行って予防につなげることができます。
充血・異物感
手術でとても小さいとはいえ穴を開けますので、目の表面に傷ができます。こうした傷は徐々に目ただなくなっていきますが、充血しやすくなる、異物感がるなどの症状が長く残る場合もあります。
感染症
生活空間は無菌ではありません。そのためどれだけ感染予防を徹底的に行っても感染症を起こす可能性はゼロになりません。手術後の合併症でも感染症は重篤になるケースが多く、失明に至る可能性もあるため迅速に的確な治療を受ける必要があります。
手術費用
硝子体手術は保険適用されます。ご紹介しているのは目安の金額です。使用薬剤などにより費用は異なります。
硝子体手術 | |
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1割負担 | 4~5万円 |
2割負担 | 8~9万円 |
3割負担 | 12~13万円 |
硝子体手術と白内障手術の同時手術 | |
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1割負担 | 5~6万円 |
2割負担 | 10~11万円 |
3割負担 | 15~16万円 |